なぜマンガにつけペンなのか
それは「躍動感ある画を描く画材のひとつ」だからです。
今現在つけペンの用途は毛筆の様に「跳ね、はらい」をしたり、筆圧によって線の太さの強弱が一筆でつけられるなど、つけペンでないと表現できない線画が描ける為に、マンガの下書きの画を清書する“ペン入れ”という作業に使われています。
ただ近年はパソコンの本体とソフトウェアの向上著しく、デジタルを介して印刷入稿の敷居が低くなり、人の手に触れられないまま形になるのも珍しくなくなりました。マンガ業界も例に漏れず、つけペンを使わず最初から最後まで全てパソコンで仕上げるデジタル画法が一般にまで普及しました。
これによって、作業効率も格段に上がり、精度の高いカラーリングや線画を描くことが出来るようになり、質の高い作品が多く生まれるようになりました。絵を描く道具としても確立したおかげでマンガ描き人口の裾野拡大に大きく貢献しています。
つけペンは習熟に時間のかかる画材です。慣れないうちは筆圧加減がわからず、線が太くなったり、細くなったりと思うように描けないことでしょう。 反面、描き方のクセが失敗ではなく個性に昇華しやすく、その人にしか出せない唯一無二の線画を描くことが出来る画材です。
また、つけペンは日進月歩のデジタル機器と違って、今現在でも形状や性質が全く変わっていませんので、自転車と同じ様に、一度ペン先を使えるようになれば、何年後に描いても、以前と同じように使えるのも大きな魅力です。
このように、唯一無二の線画を描くことによって、1度として同じ作品が描けないライブ感のある画を描くことが出来るうえ、いつでも以前と変わらぬ様に描けるのが、この「つけぺん」です。パソコンも画を描く画材として扱われるのであれば、なおさらつけペンという画材を用いてみることをおすすめします。